まどろみの中で
うたた寝をしていた。
夢の中で、
家に帰っていた。
自分はまだ高校生くらいで。
学校が終わって帰宅途中。
帰ればお母さんが
"お帰り"
と待っている…。
そろそろ夕方の鐘が鳴る頃かなぁ。
家族も生きていて、
楽しかった頃。
うたた寝から 目が覚めて
一瞬
分からなくなって
"そうだ、実家に帰ろう"
と思った。
そして、その後に
"もう、なかったよな"
と現実を
思い出したのだ。
わたしには実家がない。
遺産相続をする時に
売られてしまったからだ。
跡地には新しい家ができている。
何年か前はみんなで一緒に暮らしてた場所で
他の人たちがもう暮らしている。
やりきれない。
やりきれないよ。
夢の中に
過去に
戻りたい。
そしてそのまま
一緒に晩ごはんを
食べてみたい。